主婦が多い派遣とパートという働き方について同じ非正規雇用でもあり似ているところも多いため、「どう違うんだろう?」と感じる方も多いと思います。
派遣とパートは同じ非正規雇用ではありますが、雇用形態などが微妙に異なる部分があります。
実際どちらの方が主婦にとっては働きやすいのか気になりますよね!
主婦が仕事を選ぶうえで迷わないよう、派遣会社勤続10年のキャリアコンサルタントが派遣・パートの違いとそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説します!
主婦が派遣社員として働くには?
派遣社員として働くには派遣会社に登録し、派遣会社から仕事を紹介してもらう必要があります。
登録後、選考を行った後、実際に働く企業との顔合わせの実施があり、仕事が決まります。
一つの派遣会社に登録するだけではなく、複数の派遣会社に登録し、仕事を紹介してもらう方が希望の仕事に就ける確率が高まります。
また、派遣社員の雇用元は「派遣会社」となり、給料も派遣会社から支払われ、福利厚生も派遣会社のものを利用ができます。
実際に働く会社と雇用関係はありません。

主婦がパートとして働くには?
一方、パートは「パートタイマー」の略であり、学生やフリーターの多いアルバイトと区別されて呼ばれることがあります。
一般的にパートは働く時間が短く、扶養内で働く主婦の方を指すことが多いです。
パートで仕事を探すには、アルバイト求人サイトやアプリなどで求人を見つけて自分で応募し、面接するという流れです。
パートは企業との直接雇用される立場となり、給料の支払いや福利厚生なども雇用される企業からになります。
派遣とパートの共通点
派遣とパートは共通するところも多いため、そちらについてもご紹介します。
派遣とパートと共通する部分は?
派遣とパートに共通する点は下記の通りです。
・有期雇用、非正規雇用であること
・要件を満たせば社会保険に入れる
・有給休暇がある(条件がある場合もあり)
期間の定めがある有期雇用であること、正規ではない非正規雇用という点は同様なため、経営悪化などの事態になると雇用が危ぶまれる立場であることは共通しています。
また、派遣やパートに限らず、労働者の権利である社会保険加入や有給休暇なども認められています。
しかし、派遣社員の場合は派遣会社で社会保険に加入し、有給休暇も派遣会社とのやり取りとなります。
子どもによる急な休みは派遣とパート、どっちが取りやすい?
主婦が仕事探しの時に特に気になるのは子どもの予定や急な病気の時に休める職場かどうか、という点ですよね。
下記のようなポイントは派遣かパートかどうか、よりも就業する職場によるところが多いため、仕事を探す際に派遣会社にヒアリングしたり面接で事前に確認し、見極めるようにしましょう。
・急な休みの取りやすさ
・有給の取りやすさ
・シフトの変更のしやすさ
・仕事の裁量の範囲

派遣とパートの大きな違いとは?
共通する点も多い派遣とパートですが、その中でも大きな違いは「雇用主」と「契約期間の上限」となります。
下記の通り詳しくご紹介します。
派遣とパートの違い1.雇用主
派遣社員の雇用主は、派遣会社となります。
実際に働く場所は他の会社となり、仕事の指揮命令権も就業先の企業の担当者となりますが、給料の支払いや有給、福利厚生などは派遣会社の管轄です。
仕事のことは就業先に聞きますが、時給の交渉などについては派遣会社にお願いすることになります。

派遣社員の場合、雇用主とのやり取りだけではなく、派遣会社ともやり取りが求められるため、面倒や複雑だと感じることもあるかもしれません。
しかし、派遣会社が間に入ってくれることで言いにくい交渉なども行ってくれるのは派遣社員で働くメリットの一つかと思います。(詳しく後述します。)
一方で直雇用のパートの場合は仕事の指揮命令権も雇用主も同じ会社となるため、非常にシンプルです。

派遣とパートの違い2.契約期間の上限
派遣もパートも契約期間が定めのある労働契約となっていますが、こうした有期雇用については不安定な雇用のため、少しでも安定して長く働けるよう国が法律を定めています。
派遣については同じ派遣先の同じ組織単位(同じ課など)で派遣できる期間は「3年」が上限となっています。
同じ会社でも別の部署や課に異動すれば同じスタッフを派遣することは可能となります。
しかし、下記の方は対象外となります。
・派遣会社の無期雇用の方
・60歳以上の派遣労働者
・有期プロジェクトの方(一定期間の業務)
・日数限定業務(1か月10日以内の業務)
・産休、育休、介護休暇の代替え人員の方
一方でパートにも同じ就業場所で働く契約期間としては「5年」という期間が一つの期限となっています。
5年以上同じ就業場所で働く非正規労働者(パート、アルバイト、契約社員など)は契約期間中に、次回の契約更新の際に無期労働契約へ転換を要望することができます。
「無期転換」とは契約の定めがある有期雇用ではなく、定めなく長期間で雇用される契約となるため、より安定して働くことが期待できます。
しかし、こうした法律によって企業によってはパートやアルバイトの契約期間を最大5年、としているところもあるようです。
無期転換を避けるために解雇することは法律で禁止されているため、あまりないとは思いますが、長期間働きたいと考える場合には無期転換のことも頭に入れておきましょう。
派遣とパートの相違点、共通点を表にまとめました。
雇用元 | 就業先 | お給料支払い | 社会保険加入 | |
派遣 | 派遣会社 | 派遣先 | 派遣会社 | 派遣会社 |
パート | パート先 | パート先 | パート先 | パート先 |
主婦が派遣で働くメリット3選
では、具体的には派遣で働くメリットはどのようなものでしょうか。
特に主婦が派遣で働くにあたってのメリットを詳しく解説します。
1.時給がパートよりも高い
派遣はパートよりも一般的に時給が高いケースが多いです。
リクルートが三大都市圏で派遣スタッフの募集時平均時給を調査した金額は「1635円」でした。
(引用:ジョブリサーチセンター 派遣スタッフ募集時平均時給 2024年度3月度)
一方で同じくリクルートが調べた三大都市圏のアルバイト・パート募集時平均時給は「1188円」となっています。
(引用:ジョブリサーチセンター アルバイト・パート募集時平均時給 2024年度3月度)
関東、関西、東海という都市部であるということや、派遣はエンジニア等の技術職なども含まれていることを考えるとかなり高いことが想定されますが、派遣とアルバイト・パートでは約500円ほどの差があることがわかります。
派遣の方が時給が高い理由は企業がより「即戦力」として採用を想定していること、求人掲載のコストや選考の手間なども派遣会社が負担していることが挙げられます。
時給が高いのはそれだけ稼げるので助かりますが、その分より高いスキルが求められているということにもなります。
2. スキルや経験を生かした仕事が探しやすい
上記の通り、パートよりも派遣は時給が高いため、ある程度経験やスキルを持つ人材を想定しています。
そのため、専門的スキルや営業・コールセンター経験などを持っている人は持っている能力を生かして働くことが可能です。
家事や育児と両立しながらも、しっかりと働きたいと考える方におすすめです。

3. 派遣会社が仕事紹介や交渉などを行ってくれる
派遣社員として働くには派遣会社に登録してから仕事を紹介してくれる仕組みとなります。
登録型の派遣会社は登録しただけでは仕事はできませんが、希望条件に合わせた仕事を紹介してくれるため、自分であくせく仕事を探す手間は省けます。
仕事を紹介してくれた後は実際に働く企業に足を運んでお互いの希望をすり合わせをする「職場見学」が行われますが、その時も派遣会社の担当者が同行し、スムーズに話ができるよういろいろとフォローしてくれます。
また、就業が決まった後も派遣会社が困ったことがないように対応してくれます。
就業先がトラブルがあったり、上司に直接は言いづらい時給交渉や退職交渉なども派遣会社が間に入って対応してくれるのも安心ができるのも派遣を利用するメリットと言えるでしょう。
主婦が派遣で働くデメリット3選
一方で派遣で働くデメリットもあります。それぞれを詳しく解説します。
1.時短や週3の仕事は少ない
派遣は週5日のフルタイムの仕事が圧倒的に多く、主婦に人気の短時間や週3日、扶養内などの仕事は少ないのが現状です。
まったくないわけではありませんが、非常に人気が高く応募も殺到するため、募集枠に漏れてしまう可能性もあります。
派遣で時短、週3日などの条件で希望の場合には、主婦向けの派遣に特化しているしゅふJOBスタッフィングへの登録がおすすめです。
2.家の近くで探しにくい
派遣の仕事は都心部に仕事が集中しており、地方だと仕事が見つけにくいことがあります。
派遣会社が取引をするのはある程度以上の規模の企業のため、どうしても会社が集中する都市部に仕事も集まってしまうのです。
特に主婦の方で「通勤時間がもったいないので、家の近くで働きたい」場合だと、仕事の数もかなり限られてしまうでしょう。
3.契約期間が決まっている
派遣とパートの違いで解説した通り、派遣社員で同じ会社で同じ部署で働くには「3年」の契約期間の上限が設けられています。
長期で長く同じ職場で安定して働きたい、という方は契約期間の上限がネックになってしまう可能性があります。
しかし、長く働くことで仕事ぶりが認められて就業先の直雇用にならないか、と声がかかる派遣スタッフの方も多いですし(私自身もたくさん見てきました)、
また、派遣会社の無期雇用になることで上限3年については撤廃されています。
良い就業先が見つかったらまずは働いてみて3年のリミットが近づいてきた時点でいろんな可能性を探る形でも良いかと思います。
4.就業スタートまで時間がかかる可能性が高い
派遣スタッフとして就業する場合、
「①派遣会社に登録」⇒「②派遣会社から仕事紹介」⇒「③派遣会社での社内選考」⇒「④企業との職場見学」⇒「⑤就業決定」
とかなりステップがあります。
すぐに働きたい!と思っても選考ステップを踏む必要があるため、どんなにスムーズにいっても1週間~2週間かかります。
仕事紹介まで時間がかかったり、企業が検討している時間が長くなってしまうと就業開始まで1か月以上かかるケースも少なくはありません。
すぐに働きたい!方は派遣には向かないと言えるでしょう。
主婦がパートで働くメリット4選
一方で主婦がパートで働くメリットもご紹介します。
パートで働くことのメリットは下記の4つであると言えます。
1.家の近くで見つけやすい
家の近くで仕事をしたい、という方はパートの方が見つけやすいです。
派遣は一般企業と取引することが多いですが、パートを募集しているの事業主はスーパーや飲食店、クリーニング店、病院など様々な業種があります。
そのため、自宅の近くでも比較的見つけやすいのがパートの特徴です。
2.短時間、週3など扶養内での仕事が探しやすい
パートを募集している事業主はフルタイムに限らず、短時間、週2~3日でもOK、という形で働き手探していることが多く、扶養内で働きたい主婦にとって仕事が見つけやすいです。
子どもが幼稚園や小学校に行っている間に働きたい、と考えているママにとっては、時短の仕事は子育てとの両立ができるため働きやすいと言えます。

3.すぐに働ける確率が高い
パートは自分で応募し、事業主が選考の合否を判断するため派遣よりもスムーズに選考が完了する可能性が高いです。
履歴書提出⇒担当者と面接⇒合否判断
という選考フローのため、場合によっては面接の場で合格がもらえれば「じゃあ、明日から来てもらえますか?」と言ってもらえることもあるでしょう。
とにかく1日でも早く働いてお金を稼ぎたい!という方はパートの方が早く働ける可能性がああります。
4.長期間働くことで正社員への道が開ける可能性も!
パートは無期転換への移行もあるため、長期間働くことも可能です。
子どもが大きくなるにつれて働く時間を長くし、パートから契約社員、そして正社員になり役職を持って働く、という方もいます。
中古店の大手、ブックオフはパートから入った主婦がその仕事ぶりが認められ、店長に昇格、そして役員から社長になった、という事例は非常に有名ですよね。
活躍次第ではパートからその後正社員へのステップも拓ける可能性もあります。
主婦がパートで働くデメリット3選
一方でパートで働くデメリットもあります。
1.接客業などが多く専門スキルを生かした仕事が探しにくい
パートというとどうしてもスーパーでのレジ、飲食店での接客などが多いのが現状のため、持っているスキルを生かして働きたい、という方には物足りなさを感じるかもしれません。
出産前に働いていた経験や、取得した資格をいかしてしっかりと働きたいという場合には、派遣社員なども含めて探すと良いでしょう。
2.派遣より時給が低い
前述の通り、パートの時給は派遣社員の時給よりも数百円低いことを説明しましたが、平均時給は低めとなっています。
同じ職場で同じ仕事をしていても、派遣スタッフとパートさんで時給が違う、というケースもあるかもしれません。
特に時間でお金をもらう時給制の仕事だと、時給の差はモチベーションに関係しますよね。
しっかり稼ぎたいという方は希望時給をしっかりと考えた上で仕事を探しましょう。
3.自分で仕事探しや職場との交渉をしなければいけない。
パートの仕事は自分で求人サイトを検索し、自分で仕事の応募をする必要があります。
面接も一人で対応しなければいけないため、ブランクがある主婦の方は不安に感じてしまうかもしれません。
しかし、パートの面接では難しいことは聞かれないので、事前に簡単な準備をしておけば問題ないでしょう。
また、就業中も何か仕事のトラブルがあった時には自ら対応や交渉などを行っていく必要があります。
主婦で派遣で働くならこんな人!
今までのメリット、デメリットをまとめると下記のような希望を持っている人が派遣で働くのに適していると言えるでしょう。
・経理、人事などのバックオフィス系や営業職など今までのスキルを生かした仕事をしたい人
・フルタイムである程度しっかり働きたい人
・高時給で稼ぎたい人

主婦でパートで働くならこんな人!
同様にパートで働くなら下記のような人が適していると言えます。
・家の近くで働きたい人
・すぐに働き始めたい人
・未経験可能な仕事でも働きたい人
まとめ:主婦は派遣かパートはどちらもメリット・デメリットがあり!
主婦が働く派遣かパートの違いについて概要やメリット、デメリットについて解説をしてきました。
派遣のメリットは
1.時給がパートよりも高い
2.スキルや経験を生かした仕事が探しやすい
3.派遣会社が仕事紹介や交渉などを行ってくれる
の3つが挙げられます。
しっかり稼ぎたい人やスキルを生かしてフルタイムで就業したい人は派遣で探す方がよいでしょう。
パートで働くメリットは
1.家の近くで見つけやすい
2.短時間、週3日など扶養内での仕事が探しやすい
3.すぐに働ける確率が高い
4.長期間働くことで正社員への道が開ける可能性がある
の4つでした。
育児と両立するために家の近くで扶養内ですぐに働きたい、という方はパートの方がおすすめです。
同じ非正規雇用でありますが、希望する条件や仕事によっては派遣が適していたり、パートの方が探しやすかったりします。
ご自身の希望条件や今後のキャリアについて整理をし、仕事探しをしてみて下さい!
派遣かパートかどっちがいいかわからない…
どんな仕事がいいか不安…
という方はキャリアカウンセリングもご利用ください!
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